コウは4か所の放課後等デイサービスに行っています。
高校生になって以降、月2回の設定でお世話になっているデイサービスから「個別支援計画」が提示され、年末に電話で説明がありました。
タイムを競うような活動で、なかなか行動が速まらない傾向があります。
本人の中の「急ぐ」という意識と、他者がみる「急いでいる」という様子に乖離がありますので、
動作のみを急ぐという経験を運動プログラムに取り入れます。
電話説明では、「社会に出た時に困らないように意識してトレーニングしたいと思います」という話でした。
コウは「急いで!」と急かされると、行動が速くなるどころか、
なおさらにペースダウンするか、動きが止まってしまうことすらあります。
そういう脳と体の動きを持って生まれてきた子なのだと思っています。
その特性のせいでデイサービスや学校で他児の迷惑になることも多々あることは重々承知していますが、
「急げなくても大丈夫。生きていける」という場を提供してもらうことを保護者としては望んでいるのです。
ちょうど冬休みの児童発達外来の受診だったので、小学校就学直前から診てもらっている主治医に相談しました。
「…そのデイサービスの方針はコウくんに寄り添っているとは言えないですね。スピードアップのトレーニングはコウくんには効果がなく、むしろ自信を失わせることになると思います」とのことでした。
コウの人生によかれと思ってのことだとはわかっているのです。
さらに、「心がけしだいで、やろうと思えばできるのでは?」と思わせるような様子がコウにはあることもわかっています。
「苦手だらけ」のコウの中から、
「苦手」を見つけ出してどうにか改善・克服させようとするよりも、
「苦手は苦手のまま」で、なけなしの「得意」を見つけて、ほんの少し伸ばしてくれる関わりを願っています。
月2回のデイサービスなので、あまり影響はないとは思いつつも、
保護者の思いは伝えておいた方がいいだろうと考えています。
家では、急かさなくてはならないことも起きるには起きますが、
できるだけそうならないように、先回りして誘導しています。
コウは普段から、朝は自分で早めに起きて、ゆっくり身支度をして、地下鉄の時刻に余裕を持って家を出ます。
急がなくていいように、調整できていると評価できます。
それだけで十分です。