コウが高校生になった頃、
自治体の広報誌に「自治体職員の障害者枠採用」の記事を見つけました。
「将来は公務員はどうかなぁ」と思い、
高校1年生の時の担任の先生に言ったところ
卒業生で公務員試験に受かって「学校の事務職員」をしている子が2人いる、とのことでした。
配布物のコピーなどの仕事だそうです。
前のめりになって、いろいろ聞きまわるうち、
障害者雇用枠は3年任期が多いこと、
対象としておもに身体障害者を想定していることがわかってきました。
3年間では、環境や仕事に慣れた頃に任期終了ではないですか!
また新しい職場を探すことになるのも、考えものだと思いました。
コウが高校2年生の後半の時、進路希望書の記載で
本人は「A型事業所」に〇を付けて提出したそうです。
そうしたら「『B型事業所』に修正するように先生から言われた」とのことでした。
それで、私も、コウは高校1~2年生の校外職場実習で、
「企業等での就労は難しい」という評価だったのだ、とはっきりわかりました。
コウは手の力も体全体の筋力も弱く、
体もかたくて、手先も不器用、臨機応変が苦手です。
そして何よりコミュニケーションが下手で、滑舌も悪いです。
コウの通う高等支援学校は、「特別支援」とはいえコウよりももっと資質が高めの子が通う学校の印象です。
皆勤で通っていられるのは、誰もコウをいじめることもなく、
排除せずに尊重してくれているからだと思います。
コウは入試では高得点だったそうですが、
知的障害児の中では学力はちょっとあるものの、
生活力や社会性としてはかなり低めというアンバランスな発達障害児です。
18歳で社会に出て働くなんて、普通児でも少し早いかなという世の中です。
「働く」というのは、とても大変なことです。
生活力や社会性の発達がゆっくりのこういう子だからこそ、
20歳くらいまでは、就労移行支援事業所とのご縁があれば、
本人が過度な苦労はせずに、馴染めるのではないかなと思い至りました。
高校3年生での実習先は、そのまま卒業後に通うことになる職場や事業所を選定して行うそうです。
親としては、あまり強制の言動はしないように気をつけつつ、
本人がよく考えて先生と相談して納得できる方向に決めてくれればいいなと思います。
のちのち高校卒業後に通うことになったとして、
「実習の時は、雰囲気がよかったのに、ねー」
「実習担当の人が良い人だったけど、新人担当の人との相性がよくない…」
「実習担当の人が良い人だったけど、転勤してしまって、入職時にはいなかった」
…なんてことは、ざらにあるわけです。
全ては「運」と「出会い」です。
それでもし進路選びが失敗だったとしても、人生のリセットはいくらでもできます。