コウが高校3年生の春ごろの話です。
寝る時にベッドに入ろうとして、自分の身長と壁の間隔を見誤り、壁に後頭部を強くぶつけたそうです。
その夜は眠ったには眠りましたが、翌日以降も頭が痛いような気がしたとのことです。
スマホで調べたら「くも膜下出血」と出て来て、
「自分は死んでしまうのではないか」という不安に苦しんだようでした。
それを誰にも話さないまま、食欲もなくなり、胃薬や整腸剤を内服し、
1週間経って、ようやく私に打ち明けました。
後頭部に触ると、タンコブのようになっていたので、
確かにかなりの強打だったのだと思います。
少しずつ頭が痛いのは治ってきたとのことでした。
コウは「病院に行く?」と言いましたが、1週間も元気に登校を続けている様子から、受診は不要と判断しました。
私からは「くも膜下出血だと、食べた物を吐いたり、とても眠れないほど頭が痛いと思うよ。コウの場合は打撲とか捻挫に近いよ。『たんこぶ』で調べてみたらいいよ」
と話しました。
コウは
「臨死体験」
「生まれ変わり」「転生」
「成仏」
死に関わるワードで検索して、youtubeなども観ていました。
そして得られた知識を、多弁に私に話しました。
1週間も自分一人で不安と恐怖を抱え込んで、相当つらかったものが開放されたようでした。
「ママは死後の世界はあると思う?」
「ママは前世は何だったと思う?生まれ変わったら何に生まれたい?」
「コウは生まれ変わってもこの家族関係で生まれたい」
そして「ママがもし死んでも、コウとアサキは大丈夫だから安心してね」と言ってくれました。
母親が心残りがありすぎてお空に逝けずにさまよったらかわいそうだと思ったのでしょう。
「誰でも、必ず死ぬ」という現実に驚いたり
「自分はなぜここに生きているのだろう」
「死んだらどうなるのだろう」と深く関心を持つのは思春期特有の発達段階だと思います。
頭をぶつけて初めて「死」や「命」と向き合い、
自分の死生観を確立していく機会になったのだなぁと成長を感じました。