コウの中学校卒業式が終わり、まもなくアサキの小学校卒業式を迎えるというある日のこと。
アサキは「中学校で勉強について行けるのか?よほどの頑張りが必要。小学校と同じままではダメ」と、
小学校の先生から、クラス全体に向けたプリントや口頭で言われている様子で、家でも危機感と緊張感を口にしていました。
それでふと思ったのか、もらったばかりのコウの通知表を見つけて、中を見ていました。
国語『伝える目的や相手を明確にして作文することができる』⇒A
数学『目標時間を設定し、時刻表を活用することができる』⇒A
基本的生活習慣『正しく器を持ったり、手を添えたりして、姿勢を正して食べることができる』⇒B
集団生活への参加『あいさつ・返事を、相手に伝わる声の大きさですることができる』⇒B
といった内容の評価です。
評価表の上の欄には「主な障がい:自閉症スペクトラム」と記載されていました。
アサキはそれを声に出して読み上げ、「?」「?」「?」といった反応でした。
「自閉症…スペクトラム」「あ、それで、ひまわり学級…」
「コウは身だしなみに興味がないもんね、思春期なのに」
「しゃべり方も、ちょっと変わってるよね」と、
「自閉スペクトラム症」という障害についての知識が多少あるのか、思い当たることを言いました。
「コウ、障害者の手帳あるよね」とも言いました。
私は内心「今まで知らなかったのか」と逆にびっくりしました。
アサキが小学1~3年生の時、コウは同じ小学校の特別支援学級「ひまわり学級」にいたのです。
私は図書館から発達障害に関する本をたくさん借りています。
コウは放課後等デイサービスに毎日行っています。
何でだと思っていたのだろうと、不思議です。
この日の出来事が、妹への兄の障害名の告知ということになるでしょうか。
だとすると、この春が、アサキの障害者を家族に持つ者としての人生の始まりなのかもしれません。
アサキは、難しいと言われる中学校の勉強で、たいして勉強している様子もないコウの成績がどのくらいだったのか、知りたかったのだと思います。
それにしても、通知表に障害名を書く必要あるかな?と、今まで考えなかったことを改めて考えました。